SNSには、クリーニング店の広告が流れてきます。
「高級ダウン専門」「圧倒的な技術」「最高品質」「厚生労働省認可」「簡単・便利」
とにかく強い言葉が並んでいます。
一方、イチカワクリーニングは有料のSNS広告を一切出していません。その理由を正直に書きます。
目次
1.広告費は誰が払うのか
2.広告が目的に変わる怖さ
3.大きな言葉と赤いカプセル
4.広告で目立つことと、SNSで広がること
5.自分の基準で選んでほしい
6.広告を出さなくても、選ばれる自信がある。
1.広告費は誰が払うのか
広告が必要な場合もあります。
ただ、広告費は突然湧いてきません。SNSや検索結果に表示されるたびに費用が発生し、最終的には売上から回収されます。
当社は、その費用を料金に上乗せしたくありません。
広告より、洗浄・仕上げ・検品に時間とお金を使う。そのほうがお客様のためになると考えています。
2.広告が目的に変わる怖さ
ここからは、私の完全な偏見です。
SNS広告を繰り返す会社を見ると、
「見て見て!うち、すごいでしょ!」
「広告を出したら注文がめっちゃ来るじゃん!」
「儲かる!もっと広告を出そう!」
そんな自己承認欲求と売上欲が混ざった空気を、勝手に感じることがあります。
もちろん、全部がそうだとは言いません。ただ、広告費を回収するため、さらに注文を集める。いつの間にか「品物をきれいにすること」より「注文数や売上」が目的になる。私は、それが嫌なのです。
ちなみに、こういう経営者を見ると、なぜか「残クレでアルファードに乗ってそう」と想像してしまいます。
はい、完全な偏見です。アルファードにも残クレにも、何の罪もありません(笑)。
会社を大きく見せることに興味はありません。見てほしいのは、実際の仕事です。
3.大きな言葉と赤いカプセル
私が苦手なのが、権威があるように見える言葉を並べた広告です。
たとえば「厚生労働省認可によるクリーニング」。その会社や洗浄方法を、厚生労働省が特別に認めているように感じませんか?
クリーニング師は国家資格ですが、厚生労働省の説明では、免許は都道府県知事の試験に合格した者に与えられます。では、何を厚生労働省が認可したのでしょうか。
企業広告は、時に本当に毒です。何度も見せられると、「よく見るから安心」「有名だから技術も高い」と思い込んでしまいます。
映画『マトリックス』で、モーフィアスがネオに赤と青のカプセルを差し出します。
青を選べば、何も知らず心地よい世界へ戻れる。赤を選べば、不都合でも世界の真実を知ることになる。
広告を疑わず「人気だから」「よく見るから」と信じて生きるほうが、楽なのかもしれません。
私は赤を飲んだ側です。
強い言葉を見ると、裏の意図や広告費まで考えてしまう。もう広告を素直に見られません。
マトリックスから目覚めずに生きていたほうが、幸せだったのかもしれません(笑)。
4.広告で目立つことと、SNSで広がること
同業者ですごいと思うのが、山梨県のクリーニング403です。当社よりはるかに規模が大きく、テントクリーニング.comなどを運営しています。
同社のぬいぐるみクリーニングはSNSで話題になり、日本テレビ、NHK、日本経済新聞などから取材されています。
有料広告の使用状況は知りません。
ただ、評価されたのは、強い言葉ではなく実際の作業を見せたからだと思います。
丁寧に洗い、きれいになる過程を見せる。仕事そのものがおもしろいから自然に広がった。同業者として、本当にすごいと思います。
5.自分の基準で選んでほしい
クリーニング店によって、強みは違います。
強い広告や煽り文句で技術をアピールする会社。大きな工場と多くの職人を抱え、組織力で全国から大量の依頼に対応する会社。
当社のように、思想や理念を伝え、品物の状態や時代の変化に対応する会社もあります。
どれが絶対に正しい、という話ではありません。
価格、納期、設備、組織力、実績、正直な説明、思想や理念。何を基準に選ぶかは、お客様によって違います。
当社には10年以上の口コミがあります。厳しいレビューも残っています。
それでも全国から依頼が届き、翌年も利用し、紹介してくださる方がいます。
この記事を読んで「イチカワクリーニングを無条件で信じてください」と言いたいわけではありません。それでは、私も同じです。
口コミも、料金も、実績も、会社の考え方も確認してください。他社とも比較してください。
そのうえで、自分が何を重視するのか、基準を明確にしてクリーニング店を選んでほしいのです。
このブログには、私の思想もかなり入っています。自己満足がゼロだとは言いません(笑)。
ただ、広告によって選ばされるのではなく、自分の基準で選ぶ人が増えてほしい。
そして、その基準に「値段」「思想や理念」「変化への対応力」が入っている方には、イチカワクリーニングを選んでいただけたらうれしく思います。
6.広告を出さなくても、選ばれる自信がある
かなり乱暴に言えば、SNS広告に頼らなければ注文が来ないというのは、商品やサービスそのものに、まだ選ばれる力が足りないということではないでしょうか。
もちろん、これはすべての会社に当てはまる話ではありません。
ただ、少なくとも私は、広告を止めた瞬間にお客様が来なくなる会社にはしたくありません。
広告を見たから一度だけ注文するお客様を増やすより、実際に利用したお客様が翌年も依頼してくれる。家族や知人に紹介してくれる。
その積み重ねで選ばれる会社でありたいと思っています。
そして、誤解されるかもしれませんが、私は「もっと儲けよう」と思って、この仕事をしているわけではありません。
会社を続け、社員に給与を払い、設備を更新し、お預かりした品物に責任を持つために、利益は必要です。
しかし、利益を出すことと、儲けること自体を目的にすることは違います。
売上を増やすために広告を出し、広告費を回収するために、さらに多くの注文を集める。
その繰り返しに入れば、会社は「何のために仕事をしているのか」を見失います。
当社は、広告を出さなくても選んでもらえる自信があります。
それは「うちの技術は日本一です」という自信ではありません。
これまで積み重ねてきた口コミ、実績、正直な説明、そして品物の状態に合わせて考え続けてきたことへの自信です。
広告費を使って会社を大きく見せるより、目の前の一着と向き合う。
その結果としてお客様に選ばれ、必要な利益が残る。
それが、私の考える順番です。
この考え方の原点については、市川思考録 #5
「売上30万円のチラシに、広告費30万円。だから父に反発した。」
でも詳しく書いています。
広告費約30万円を使って、売上も約30万円。
あの経験があったからこそ、私は広告ではなく、商品、仕組み、実績によって選ばれる会社をつくろうと考えるようになりました。














